そらを自由に飛びたいな

おっさんのぼやきです。

忘れられなかったので宣言します。


自分は、ゲーム屋になりたかった。
色んな企画を考え、理屈屋のプログラマと気分屋のデザイナに板ばさみにされ、更には金をほしがるエライ人と、面白さを欲しがるユーザーに挟まれ、前後左右からどつき回されながら、目の下にクマを作り、薄ら笑いを浮かべながらスケジュールと書類の山に追われ、気づいてみればゲームが完成している。
そんなゲーム屋になりたかった。


好きなメンバーと共に。


卒業まであと1年と半年という時「一足先に」と会社を立てた人たちがいた。


「面白いものを作れば売れる。好きなメンツとそれが作れれば、最高じゃないか」


自分も当然、その仲間に入るものだと思い、就職活動はロクにせず、ただ、面白い話を作る方法を学びつづけた。
しかし、その会社はすぐに潰れた。
流行のベンチャー企業とそのスポンサー。
そのベンチャー企業としてゲームを作り始めたものの、スポンサーと仲違いして潰された。


世間知らずの自分には、何がなんだかよくわからなかった。
なぜスポンサーが怒ったのか、なぜリーダーは説得しようと思わなかったのか、出来なかったのか。
さっぱり分からないまま、リーダーから「すまんなあ」と言われた。
他のメンバーも「いつかまた」と言い、散りぢりになってそれぞれ生活の為に仕事についた。


今思えば、よくある事だ。
毎年のように、全国各地で雨後の筍のようにポコポコ出てきては潰されていく。
出る杭は打たれるのが当たり前で、打たれて耐えられない杭は折れるしかない。
多少の技術と夢だけを武器に戦場に出た新米ソルジャーは、1発1ドルの銃弾を浴びて倒れるのだ。
別に珍しくもないただのベンチャー企業の一例。


ただ、自分には忘れられない出来事になった。
23歳のチームは、なんだか分からない大人の世界に飛び込んで、あっさり潰された。
22歳の自分が、無敵だと信じたそのチームワークは大人の力の前に、紙きれのように破れた。
それまでも嫌いだったが、歳を取るのがもっと嫌いになった。


よくわからないまま、自分も生活の為に仕事を始めた。が、すぐに辞めた。
違うんだ。こうなりたいんじゃない。こんな未来は一度も望んでない。
どこかにあるはずの未来を探して、都会をウロチョロし、田舎で静かに考えた。
でも、どこにも無かった。
一人で傭兵気取って暮らしたものの、知り合った人たちがバーゲンセールのように目の前で銃弾に倒れていく。
そんな冷たいだけの現実が横たわっていた。


最近になって、一冊の本を読んだ。
「金持ち父さんと貧乏父さん」
だいぶ前のベストセラーだけど、そこには書いてあった。


自動的にお金が入ってくるようになれば、好きな仕事を好きなだけ出来ます」


多分、あの頃の自分とリーダーに足りなかったのは、この知識だ。
どうすれば金を稼げるのか、そして金に惑わされず、自分の好きな事をやっていけるのか。
その勉強を始めた。


と同時に、母校にいる後輩達にも声をかけてみた。
「学校で学べない事を学んでみないか」
戦場に出たがる新兵に、小銃の扱い方と英雄の話だけ聞かせるのはもうやめよう。
英雄を夢見る者には、生き残るサバイバル技術を教えなければいけない。
そして、後輩達を教育する事で、自分も教育される。自分はもっと強くなる。


今度こそ、このゲームをクリアします。コンテニュー回数は無限だ。
クリアするまで終わるものか。



と、書いてみたものの恥ずかしいですね。本気ですけど。