そらを自由に飛びたいな

おっさんのぼやきです。

医療とITを同列に考えちゃいけない。


じゃぁ、薬屋はユニバーサル・サービスができるのか?
http://d.hatena.ne.jp/michikaifu/20090512/1242153786


病人やけが人は、基本的に羞恥心を持っている。
例えば、街中で突然、鼻血が出たとする。
一般的な人間ならこう言うだろう。「すいません、鼻血が出ました」と。
まず最初に謝罪の言葉がつく。これが社会的弱者の自意識だ。


風邪を引いても、怪我をしても、本人が全く悪くなくても「すいません」という意識が働く。
更に「あらあら、かわいそうに」と思われる事も嫌う。
誰だって手を差し伸べる気のない同情なんてされたくはないのだ。


だから、医薬品をネット販売すれば、人気が出る。
誰にも迷惑をかける事もなく、宅配業者に金を渡せば家まで運んできてもらえる。
本人は玄関まで出ればよく、誰かに見られる事もないから同情される事を意識しなくてすむ。
とても楽だ。


でも、この意識そのものが、本来おかしいんですよ。
なんで怪我人や病人が申し訳ない気持ちにならなきゃいけないんですか。
そりゃ生産力ないですよ。一日中伏せてる事だってある。
無駄メシ喰らいと言われりゃ、泣きたくなるけど言い返せない。


違うでしょう。
本来、目指さなきゃいけないのは、弱った体を持っていても地域に溶け込んで暮らしていける事じゃないですかね。
その為には、羞恥心を麻痺させる事です。
薬局に毎日薬を買いにいけば出かける事にだって慣れます。
そういう人が増えて当たり前の光景になれば「かわいそうに」なんて言う人も減りますよ。
少しの手間賃で薬を運んでもらう事にも慣れるようになります。


確かに宅配便だって運賃渡せば運んでくれますけど、彼らが運ぶのは「荷物」です
運ぶのが仕事だから、もちろんそれでいい。
でも、薬局の人が運ぶのは「薬」なんですよ。
この意識の違いを分かってほしい。


ちなみに自分は、たまに足が痛む。立ってるのも辛くなる。
だから、電車の中では、なるべく座りたい。
でも、満席の時に「すいません、ボク足が痛いんで、席を譲ってください」とは言えないんです。
空いてる席があったとしても、女性やお年寄り、足をひきずってる人が入ってきたら、もう座れません。彼らを押しのけてまで椅子取りゲームに勝ちたいとは思えません。


「しんどかったら言いなさい」と人は言います。
でも、本当にしんどい時は、なかなか言えないんです。
ただ、小さな声で「すいません」としか言えなくなるんです。


人は孤立しちゃいけないんです。
「自分は誰にも迷惑かけちゃいけない」なんて意識はバカげてる。
シングルマザーも病人もけが人も老人も全員まとめて、ど真ん中に連れてきて「さあ、彼らが自然に笑える生活が出来るようにするにはどうすればいいか」を考えなきゃいけない。
ほっとくと彼らはどんどん隅っこの暗いトコに行って、誰にも知られる事なく過ごすんです。


ITは素晴らしい技術だし、それを活用するのは良いと思う。
でも、それが本当に皆にとっての幸せになるのか、という事を考えてほしい。


関連 強者の敵かもしんないけど弱者の味方でもない。
http://d.hatena.ne.jp/kamayan1980/20090512/1242095428