そらを自由に飛びたいな

おっさんのぼやきです。

ゲームを作るのに個人的に必要だと思う事。

つっても別に自分はゲーム屋じゃないので、居酒屋でおっさん達が政治経済について語るのと似た様なもんです。


今はもうバンプレストの商品みたいになっちゃってますけど、数年前に「連邦vsジオン」っていうガンダムのゲームが出ました。制作はカプコン
当時、自分は学生だったんですけど、そのゲームをアーケードで遊んで『あのガンダムをアクションゲームの雄であるカプコンがゲーム化する』っていう事を当たり前のように喜んでたんです。


んで当時あった噂で。真実味のない噂のひとつ。都市伝説。ゴシップの類として。


カプコンが無断で勝手に作って完成させた後、バンダイに見せに行った」というのがありました。
恋愛に例えれば、うまくいってるカップルに「あなたにあの相手はふさわしくない。あなたにぴったりなのはこの人」と相手を紹介するようなもんで。余計なお世話どころの話じゃない。


当時のカプコンは「売上が見込めるシリーズ物を数本作って利益が余ったら、その利益を使って好き勝手にゲームを作って良い」という割と普通の体制を取ってまして。
この好き勝手に作ったゲームが新たなヒット作になったりすると、それもまたシリーズ物に加えられるわけだけど、大抵は当たらないのが前提で作られたわけです。


この当たらない前提のゲームとして「どうせ当たらない前提なら、売らない前提のゲーム作ってもいいでしょ」という理屈の元でガンダムゲーが作られて完成してしまった。
あまつさえ「面白いガンダムゲー出来た!」とバンダイに見せに行った。
見て遊んだ瞬間にバンダイ側の人にも、どう考えてもバンダイ側が作るガンダムゲーより面白い、というのが分かってしまった。
それで仕方なく販売許可を出した、っていう。そういう噂。


個人的に好きな噂です。
まあ、社会人の常識とか経営とかどうのこうの言い出すとめんどくさいんだけど、この話に出てくるカプコン側の制作者には、まずガンダムに対する敬意があるんですよね。
言わば「ぼくの考えた超人」「ぼくの考えたスーパーロボット」「ぼくの考えたポケモン」みたいなもんで。まず原作が好きだという気持ちがある。
そうじゃなきゃ、半年、一年という期間をかけて売らない前提のゲームなんて作らない。


そういう「好きだ!」という敬意の上に「でも俺の考えたガンダムの方がもっと面白い!」という制作者としての業がある。
なんというか、この業ってゲーム作る上で必要だよなあ、と思うわけです。


ゼルダおもしれえ! でも俺の考えたゼルダのが絶対おもしれえ!」っていう。
プログラムもグラフィックも音楽もシナリオもタッチパネルも全部が全部、ただ「俺の考えたゼルダ」を実現する為の一手段でしかないわけで。
都合が悪いなら、他の手段でもいいわけですよ。そもビデオゲームにこだわる必要すらない。
52枚のカードにモンスターやアイテムの絵を描いてそのカードでプレイする「俺の考えたゼルダ」って事でもいいと思うんですよ。


必要なのは、先人に対するリスペクト。それと、先人より今の俺のがすげえという傲慢さ。
どっちが欠けても微妙。どっちも大事。
ゲームに限った話じゃないかもしんないね。