そらを自由に飛びたいな

おっさんのぼやきです。

とあるアニメ監督が亡くなったそうな。

ボクはその監督の人格をよく知らない。
ただ、果物(野菜?)の名前をタイトルに持つ映画のDVDを持っている。
お悔やみは申し上げる。
けれど、葬式の決まり文句であり、あるいは素晴らしい作品が今後出てくる可能性が少しばかり削れた事に対してのお悔やみであり、涙ながらにおいおいと語るようなものではない。
また、作品自体がいかに素晴らしいかを語る事も自分はしない。
そこらへんは、自分よりもっと詳しくて、語る言葉を持つ人がいるだろう。
自分が語るのは自分の事だけ。自分が語れるのは自分の事だけ、と言い換えてもいいかもしれない。
他人様の評価など、いまだ無職で30未満の未熟者に出来るはずもない。


■今日、昼飯を珍しく父親と食べた。
そうめんと、とても小さな干しキスと、干しドギを焼いたものだった。
作ったのは母親だ。「夏はコレ」とドヤ顔で焼いたドギを薦めてきたが、正直、塩辛くて口に合わなかった。
父親曰く「塩がキツすぎて他の時期だと食えたもんじゃない」だそうな。そういう意味の「夏はコレ」か。冷凍庫の掃除当番というのも大変なものだ。
自分と父親は仕事の話しかしない。したことがない。お互いの接点など、その程度しかない。そういう家庭だった。
別に30手前で家庭環境をどうの、というつもりはない。
友人知人が作り始めた家庭を見れば分かる。皆、自分なりのやり方でしか作れないのだ。自分の父親が仕事だけで家庭を作ったとて、作れているだけ立派であるし、こうして無職の息子がブラリとメシを食っていても「働け」と頭ごなしには言わない。おや、これは珍しい。


父親は何度か倒れている。だから、あまり肉体的なムチャはしない。
せいぜい、店に行き、品の並べ方がどうの、客への声のかけ方がどうの、とスタッフの方々にありがたーいアドバイスを丁寧かつ丹念かつ入念に繰り返すだけ。大変ありがたすぎて年に一度でもお腹いっぱいになる。
仕事仕事の人生だったことは、その背中を見てきた自分にはよくわかる。団塊より少し上で「始めれば儲かる」と言われた世代であったとしても、楽しいことばかりではなかっただろう。
それは、この仕事を始めて以降、酒を飲まなくなった、という母親の言葉でも分かる。もう何十年と酒断ちしているのだ。仕事の為に。
その父親が「仕事しろ」とは言わない。


相変わらず回りくどくて解読出来るのは自分だけ、と言われたその話は、自分でなくても割と誰にでも分かるような話だった。
「思うことがあったら、気にせずやれ」


うん、気にしたことなんて無いけど、それがどうかした?
そう返すと「そうか」とだけ返ってきた。


そう、自分は誰かに気を使った事なんてのは、ほとんどない。
やりたいからやっている。
学生の頃、小説をひとつ書いた。あまりにも酷い出来で、推敲する気すら起きず、見たくもないと思ってたら、いつのまにやら消えていた。
当時、足りなかったのは文章力に語彙力に知識力に、作品への愛。
全部なかった。


こないだ、本当に久しぶりにSSを書いたら「もったいない」と言われた。
言われて悪い気はしないので、今は小説を書いている。
あと、メシのタネは、小説と同じ発想で作ることにした。
つまり「自分にしか書けない(やれない)事」だ。


とりあえず今住んでる家が、実質、自分一人しか住んでいないので、部屋が余っている。
安くて場所を取るようなものを大量に売買すれば、自分一人の食い扶持ぐらいはどうにかなるんじゃなかろうか。


■昼飯後から、なんと書こうか迷っていたのだけれど。
映画のDVDを見たら、こう書こうとピンときた。


今敏監督。
「こん さとし」と読む事をDVDのパッケージを見て、今夜初めて知ったようなにわかですが。
素晴らしい作品を残してくれて、ありがとうございました。
ご冥福を心よりお祈りいたします。


最後に映画内のセリフより。
「続きはどうすんだよ!」
これに答える刑事のセリフ、好きなんですよね。