「読むべき」と思ってた本を頑張って読んだ。
- 作者: V.E.フランクル,霜山徳爾
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1985/01/22
- メディア: 単行本
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アウシュビッツで行われていた行為については、いろんな書籍や映像で語られてるので、さておき。
実際、中にいた人はどうだったか、という収容された心理学者による体験記録です。
■興味深かった点として。
どんなにひもじい思いをしようと、どんなに無様で屈辱的なことをさせられようと、アウシュビッツに入った時から、人間の尊厳らしきものはカケラも残さずに破壊され尽くしているので、収容者は逃げ惑う羊のように『それでも死にたくない』と思うようになるのだそうな。
もう、「潔く玉砕だ!」とかそういう心すら失ってしまうようです。
あと、無事に連合軍に救出されて、我が家に帰ったあとが大変だったそうで。
異常なまでの抑圧下から解放されたせいで、「今度は俺が抑圧する番だ!」と暴力や権力に走る人が多かったそうです。
必死で泥水をすすりながら生き延びたのに、自宅へ戻ると、近所の人たちがほどほどの不景気の中で「いやあ、厳しいねえ」なんて井戸端会議やってるわけですから。そりゃ、イライラします。「お前ら、俺を讃えろ!生存確率1%以下を生き延びたんだぞ!」と思っても全然おかしくない。むしろ、そう思う方が自然。
けれど、当時としては、もう済んだ話。
明日からのご飯と寝床を確保するために、収容されてなかった人たちに頭を下げて仕事をもらう必要があったようです。
これ、本当に苦痛だろうなあ。
■生き残るために大切なこと。
本の中では「生き残ったのは、運」とされています。
死体の山の一部になっていてもおかしくなかった。
ただ、「死を選ばなかったのは、人生に希望を求めなかったから」としています。
人生に希望を求める、というのは、例えば「クリスマスにはいい事があるだろう」ということ。
実際に何もしていなければ、クリスマスになっても今と同じなんですけど、「きっとなんとかなるだろう」と思うことが、なんとかならなかった時のガッカリにつながるそうです。
大切なのは「希望を人生に与えたこと」だそうです。
絶対に自分は生き延びる、助かってみせる、と考え、行動を続けること。
。。。なんだか耳に痛い話ですね。
■最後に。
どんなに過酷で苦しく、人間の尊厳を奪い続けるような環境であっても。
「それに染まらない」という選択を選び続けることは、英雄ではない凡人にも可能だそうです。
ナチスにも収容者にも善人がいて、ナチスにも収容者にも悪人がいた。
「染まるか、染まらないか」
その選択肢は、どこにでも存在する。
読むことが出来て、よかったです。