そらを自由に飛びたいな

おっさんのぼやきです。

フライパンの買い替えどきが分からない。

年の瀬です。

 

お鍋は穴が空くまで使えるんですけど、フライパンってだんだん焦げ付くようになるじゃないですか。テフロン加工、というんでしたっけ。焦げ付かないアレが摩耗してくるんでしょうね。

焦げ付かれるとスポンジじゃどうにもなんないんで、諦めてあの金属のゴワゴワのアレでゴシゴシ洗うんですけど、そうすると余計に摩耗するっていうか、もう完全に剥げていくわけでして。

一度そんな風にガシガシやっちゃうと、もう次からも遠慮なくガシガシやっちゃって、余計にひどくなっちゃうわけでして、見る影もなくなったフライパンを手にして、割れ窓理論ってこういうのも言うんだろうか、なんて思ったりするわけです。

 

そんなわけで、年の瀬ですし、新しい時を迎えるのに合わせて、フライパンも新調しようかと思うんですけど、amazonで見ててもフライパンって違いがよくわかんないんですよね。

ティファールの名前ぐらいはさすがに知ってるんですけど、じゃあティファールの何がどうイイのか、と聞かれると分からない。

商品説明を読んでみたけど「焦げ付かないぜ」「温まったタイミングが分かるぜ」ぐらいのもんで、焦げ付かないのは、どのフライパンも主張してるし、温まったタイミングなんて水を一滴落としてみりゃ分かるわけで、機能として必要かどうかよく分からない。

レビューを見ても「ティファール最高。だってティファールだから」みたいなコメントばかりで、「神はいます。いるんですからいます」という宗教の定番文句みたいで、もしやフライパン選びも宗教なんじゃなかろうかと思ったりするわけです。

 

話は少し変わりますけど、数年前に、女性との雑談の中で「無印良品に満足できなくなったらフランフラン」と喩え話をしたら「はあ? 無印の方が上なんですけど!」とものすごく怒られて、スイマセンスイマセン物のわからぬ阿呆でスイマセン、と平謝りした覚えがあります。

自分の感覚では、無印の方が店舗数が多くて、商品価格帯も安いし、地方でも見かけるので、都会にしかなくて値段帯も少し高めのフランフランの方が上等だろう、と思ってたんですけど、そうではないようで。

どうも、話を聞くに、「阪神が巨人より下だなんて認めない」みたいな内容に思えまして、ああ、これは宗教だ信仰だ、と思った覚えがあります。なんまんだぶだぶ。

 

話戻して。

近所のデパートでフライパンなどを見ても、どれがどういい、みたいな説明がなく、店員に聞いても「そりゃ値段相応ですよ」以上の情報がさっぱり出てこない。

これが自動車だったら「エアコンにカーナビ、ステレオやマッサージ機能、足湯までついてますよ」みたいな話をしてもらえるので「運転中に足湯ってどうやるの?」と尋ねて、懇切丁寧に説明をしてもらった上で「足湯はいらないから、あっちのやつちょうだい」と話を続けられるわけですよ。

そうして考えてみるに、フライパンというのは、どうも世の中でナメられてるんじゃないですかね。

 

だってフライパンですよフライパン。

一人暮らしの独身男性で「料理はロクにしない」と言うような人の家にでもあるのがフライパンなんですよ。

昭和の時代から「台所からフライパンで何かを焼く音と、まな板をトントン叩く使う音が」と言えば、幸せな日常の慣用句ですよ。間違っても、鬼婆が包丁研いでるシーンでは出てこない、それがフライパン。

むしろ、フライパン=幸せ、と現しても過言ではない。

フライパンを振ってご飯を作るような、単純作業がこの世界をまわりまわって、まだ出会ったことのない人の笑い声を作っていくんですよ。そんな些細な生きがいが日常に彩りを加えるんですよ。モノクロの僕の毎日に少ないけど、赤黄色緑ですよ。

なんで、青がないねん。(青色好き)

 

だからもっとみんなフライパンのことをちゃんと見てあげてください。

テフロン加工のフライパンを金属のアレでガシガシするの、ってものすごく侘しいんですよ。なんかね、本来はこういう使い方をされるべきじゃないんだろうな、と思いながらガシガシするわけですよ。

これは言わば、若くて綺麗で賢かった女性が、年食って独り身でひねくれちゃって、男性からも見向きもされなくなって「いいんですよ、どうせ私は」なんて言ってるアレを見るようで、侘しいんですよ。

本来はそうなるべきじゃなかったんだろうな、みたいな。

助けてあげらんなくてごめんな、と思ったりするわけですけど、一緒に飯くったりしてみると、あまりの行儀の悪さに「なるほど、独り身にはそれなりの理由があるのだな」と一人勝手に納得しちゃったりして、いやいや、俺も独り身じゃねえか、何をエラソーにしてんだよ、と反省したりするわけです。

 

今年はだいたい、そういうテフロン加工をガシガシした一年でした。

みなさま良いお年を。