サッカー漫画「俺たちのフィールド」で印象に残っているシーン。
それは主人公に課せられた「砂浜でラグビーボールを蹴ってゴールしてみろ」という特訓です。
下が砂だからボールは思ったより跳ねない。
地面につけないように、とボールを蹴ってもラグビーボールだからどこに飛ぶか予想ができない。
「これじゃコントロールできない。丸いボールでやらせてくれよ」と主人公が頼むのですが、「それじゃ意味がない」とすげなく却下されます。
けれど、持ち前の体力と才能もあり、朝から晩までひたすらボールを蹴っては追いかけるのを続けた結果、主人公はいつの間にか、ボールを体の前から離さないコントロールを身につけていました。
「違ったんだ。ボールをコントロールするんじゃなく、飛んだボールに体が追いつくよう、体をコントロールするんだ」
サッカーの試合中に目の前の相手がどう行動するかを全て読むのは不可能だし、コケたりして相手自身も予想していない結果になるかもしれない。
そんな時でも、ボールを失わないためには、最初から『ボールコントロール』を諦めること。
という話がありまして。
子どもの頃に読んで以来、この話は色んなことに応用できるのでは、とずっと心に残ってました。
■そして、クルンボルツ博士の話に。
- 作者: J.D.クランボルツ,A.S.レヴィン,John D. Krumboltz,Al S. Levin,花田 光世,大木 紀子,宮地 夕紀子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2005/11/18
- メディア: 単行本
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運命論者のスピリチュアルっぽいタイトルなので、すげーうさんくさいですが。
帯の「もうキャリアプランはいらない」の方が、本書の内容を示してる気がします。
※「」カッコ内は、自分の解釈です。
クルンボルツさんは、もともとキャリアプランニングに通じた博士でして、けっこうなベテラン先生です。
その先生が、長年研究してたどり着いた成果が「偶然の前には、いくら計画練っても無駄じゃね?」という話で、もともとは「28歳で、18歳の時に志望していた職業についている人は2%未満」という統計からスタートしてるそうです。
例えば、「ハーバードを目指して勉強してたけど、なんか違う気がする」という場合。
周りは「目標と定めたのだから、ハーバードを目指しなさい」とプレッシャーをかけてくるでしょうし、自分自身でもそう思うかもしれない。
「でも、それ、なんか違う、って思った時点でもうハーバードには、あなたの幸福は無いのだから、目指す必要はないんです」
という感じの内容です。
じゃあ、目標は設定しない方がいいのか。何もしない方がいいのか。
「そんなことはありません。『ハーバード』という目標を失った時に、思いついたことはありませんか。それをやりましょう。まずは行動を起こしましょう。行動を続けながら、アンテナ感度を高くして、次の目標と出会いましょう」
という、行き当たりばったりにも思える話です。
「行き当たりばったりにも見えるかもしれませんが、何より肝心なのは、幸せになる手段を先入観や過去の労力や年月で限定しない、ということです。昨日から続けてきていたとしても、常にスタートは今です」
じゃあ、キャリアプランって本当に不要なのか。
「2%に入る自信があるならどうぞ」
といった感じの解釈を自分はしました。
■これ「ボールをコントロールするな」の話と似てるよなー。
例えば、明日、戦争が始まってしまったら。
例えば、明日、株価が大暴落したら。
例えば、明日、恋人が浮気していることに気づいてしまったら。
例えば、明日、海外に移住することが決まってしまったら。
そんなこと、考えても仕方ありません。
追いかけているボールが、自分にとってどうなのか。
追いかけていること自体が、幸せであること。
それが大切、ってことなんですかねえ。