そらを自由に飛びたいな

おっさんのぼやきです。

オデッセイを見て勇気づけられた話。

 ネタバレしまくりなので、見たくない人は回れ右推奨。

 

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

 

 画像ほしくてamazon調べたら原作小説を発見したので、今度買って読みます。

っていうか、なんで映画公開されてるぐらいなのにKindle版がないの?

 

火星の人

火星の人

 

 嘘。ありました。早速ポチったー。

 

■あらすじ。

火星探査チームが想定外の嵐に巻き込まれて緊急脱出をする途中で、隊員のマークが破片にあたって嵐の中に消えていっちゃって、生存信号も拾えなくなったので置いていったら、実は生きてて、マークは救助が来るまでの長い期間を火星で生き残ることを決意するよ。

 

■徹頭徹尾、科学サバイバル。

文学的なセンチメンタリズムとかは、ほとんどない。

問題を見つけては、科学的に取り組んで解決法を探して挑戦して失敗して、計画を練りなおして再度挑戦する。

「家族の絆」とか「愛」とか「思いやり」なんてのはカケラもない。

ひたすら生きるために生きる。

火星でフリーズドライになって死にたくないから生きるしかない。

 

それが個人的には良かった。

 

■マークは孤独だ。火星だけでなく、おそらく地球でも。

脱出した火星探査チームのメンバーもマークの生存を知ったあとで「命をかけてマークを助けよう」ってなるんですけど、それぞれ家族とビデオ電話とかしてるんですよ。

「パパだよー」「ママだよー」みたいなやつ。

でも、マークの家族は劇中、一度も出てきてない。

マークも家族の名を口にしないし、友人、知人の名前すら口にしない。

探査チームが残した生活用品をサバイバルで消費する時にはメンバーの名を口にして「悪く思うなよ」みたいなことを言ったりするけど、プライベートで親しそうな感じがあまりしない。

あくまでチーム仲間。職場の同僚。

 

唯一、マークが死を覚悟した時に「両親には」という話をするけど、肝心の両親との関係が分かる話は一切なし。

ただ、「この仕事が好きだし、生涯をかけられて幸せだった、と伝えてほしい」とだけ続ける。

その内容は、両親に伝える役目であるリーダーをかばっていた。

両親ではなく。

 

■最後、地球に戻ってきたマークは、やはり一人だ。

過酷なサバイバルを生き抜いた人として、宇宙飛行士候補生からは憧れの眼差しを送られている。

けれど、隣には誰もおらず、一人でコーヒーを飲み、地面から出た双葉を愛でる。

彼は地球でも一人だ。

 

そして、最後に候補生に講習をするシーンがある。

「生きるために生きろ。死にたくないならそうするしかない」と。

 

■おそらくマークだからこそ生き延びられた。

彼は最初から孤独だ。だから孤独が苦にならない。

火星に一人ぼっちで、宇宙服を着て外に出て、生き残るための活動をして、たまに失敗して、宇宙服が壊れたりして、「酸素残量が5%以下です」みたいな状況になったとしても慌てず冷静に対処をする。

淡々と毎日いきるための作業をして、いきるために食事をし、いきるために歌い、いきるために踊る。

 

おそらく地球でも同じ生活だったのだろう。

 

もしマークの宇宙服の酸素が0%になったとして、死ぬことが確定した時、マークは後悔するだろうか。

失敗したことは後悔するかもしれないけれど、挑戦し続けたことには満足して死ぬ気がする。

 

それはマークの生き物としての強さだ。

孤独の強さだ。

 

■オデッセイを見て、勇気づけられた。

一人でいることは弱いことではないのだ、と。

まあ、社会的には良くないことかもしれないけれど、そんなことは知ったことではない。

 

明日から自分も地球一日目の気分でがんばろうと思った。