そらを自由に飛びたいな

おっさんのぼやきです。

体験版は『売る』のが目的ではない。


「これから先、体験版はなくなってゆくのかもしれない」
http://gamemusic.blog50.fc2.com/blog-entry-600.html


 さて、体験版というのは、もともとその製品のアピール目的、つまり売り上げを増やすために作られるものですよね。


まず、この前提がおかしい。
『売る』のが目的であれば、雑誌媒体への広告や動画で十分なんですよ。
わざわざ手間かけてプレイできる物を用意する必要はありません。


よっぽどユーザーに優しく分かりやすく一発で面白さが分かるようなものであれば体験版も販促効果をもたらすと思います。
でも、多くの体験版は、ゲーム本編と同じく「どこかで見たゲーム+a」である事が多い。
って事は、体験版なんて出した所で売上が伸びるなんて効果はほとんどない。


以前、どこぞで「株主にゲームの出来を見せる為じゃね?」という話も見かけましたが、それもおそらく違います。
いくら若い株主が増えたといっても、会社を左右するような大株主はやっぱりそれなりに年食ってますし、忙しい身です。体験版をプレイするヒマも余裕もないでしょう。



じゃあ、体験版の目的ってなーに?


それは「満足度をあげる事」です。


満足度とは、期待度を100点満点とした時の「期待通りだった」「期待以上だった」という点で図れます。
この満足度をあげるという事はつまり「このメーカーは信用できる」という評価につながります。
いわゆる『ブランド化』ってやつですね。


んで、期待度が100点満点になるので、動画や宣伝で煽りまくって期待度を上げるというのは、満足度という観点から見るとよろしくない。
「買ってみたけど、予想よりショボかった」ってのはユーザーを確保する必要がない場合のみの裏技です。(児童向けのキャラゲーがこの形ですね)
次に出る新作も買ってもらう為にはユーザーに「すげえ。期待以上だった!」という感想を持ってゲームを終了してもらわなきゃいけない。


満足度をあげれば『ユーザー』は『ファン』になり、勝手に広告宣伝をしてくれます。クチコミ効果ってやつです。
そうなれば、あとは「名前で売れる」ってやつになります。
ファンが多ければ雑誌やネットでの扱いも大きくなります。費用対効果が上がるので広告費は削減できるし、やたら煽るムービーやらムービー専用のゲーム画面なんかも作る必要はなくなります。


つまり「ゲーム内容で勝負できる」って事です。
そうなれば、ゲーム制作者は笑顔で血吐きながら仕事するでしょ。
(まあ、そこまでうまくいきゃ血吐く必要もなくなるんですけどね)


まとめると。
「体験版というのは、メーカーのアピール目的、つまりファンを増やすために作られるもの」です。


ちなみに。


自分から見て、このやり方を一番うまくやってる日本のゲーム会社はカプコンです。
新作はほとんど宣伝、広告を打たず期待度をギリギリまで下げておいて、満足度をあげる。
期待度が元々低いから、失敗しても被害が少ない。
満足度が高い作品であれば、続編にコストをかけて大々的に打って出る。
かなりの高確率でその続編は当たるし、当たればボロ儲け。その上がりで他の新作にまた着手する。
その間も売れなくなるまで続編は作られつづける。
この仕組みを考えたのが、かの有名な岡本吉起。さすがボンボン。金儲けを知ってる。