高校の頃、一冊の漫画を読んだ。
その作品にはチンピラが出てくる。
貧乏暮らしにあえぐ幼い主人公たちに色々と街の掟や生きるルールを教えてくれるんだけど、その基準は貧乏で治安の悪い街で生きていくルールだからロクなものではない。
そのチンピラには姉がいて、とても仲が良い。
チンピラも唯一、姉にだけは逆らわないし、姉の教えである「女性に優しく」だけはきちんと守る。
けど、その姉が死ぬ。
貧乏で治安の悪い街だから、割とロクでもない死に方をする。
チンピラは大好きな姉の死を悲しんで泣く。
自分の生き方が街を悪くする一方であったことを反省し、それでもその生き方しか知らない自分の無力さに泣く。
「オレが街を悪くしたから、街が姉ちゃんを殺したんだ」と泣く。
■疲れた時に、ふと思う。
自分がしている仕事は、本当に誰かの為になっているのだろうか。
自分が身につけた技術は、先輩達から教わったものだ。
お礼を言うと皆、口をそろえて「恩返しとかしなくていいから、後輩が出来た時に同じ様に教えてやってくれ」と返された。
でも、果たして今、きちんとそれが出来ているのだろうか。
恩を仇で返してやいないだろうか、とちょっと考える。
今日は早めに寝ます。
