数年前の深夜テレビで、お笑い芸人さんたちが集まって「調子どうよ?」みたいな話をする、という番組があった。
その番組内容はさておき。
バラエティ畑の芸人さんが、演劇コントの芸人さんを指して「頭良さそうな笑いでうらやましい」と言った。
んで、演劇コントの芸人さんの返事は「でも、ぼくには瞬発力がないですから」というものだった。
■瞬発力って。
ここで言う瞬発力は、バラエティ番組でいうところの「聞いてないよ!」であり「オイオーイ!」というツッコミだったりするのだろう。
「そんなの関係ねえ!」「間違いない!」「訴えてやる!」などなど。
「騒いでるだけ」とケチをつけられやすいアレも一種の芸であり、相当難しいらしい。
■それに対する持久力。
瞬発力だけだと、飽きられやすい。
漫才も数分程度だから、あの勢いのあるテンポに集中して聞くことができる。
1時間続けられたら、観客の半数以上は、ぐったりするだろう。
だから、シナリオを入れる必要がある。
漫才を1時間続けられると疲れるけど、1時間のドラマを漫才仕立てにしてヒットした例はたくさんある。
このシナリオの上手さを自分は持久力と呼んでる。芸人さんの「瞬発力」にちなんだものだ。
■近頃は瞬発力がカネになる。
不景気だからね。よゆうないからね。
1時間ドラマなんて見てられない。名シーンだけダイジェストで見たい。
テレビゲームだって、自分でプレイすると疲れるから、他人のプレイ動画を見る。そのプレイ動画だって、面白いシーンをつなぎあわせたものでいい。ノーカットなんてダラダラしたもの見たくない。
だから、瞬発力が重要。
■でも、瞬発力って若い人の方が有利よ。
歳を食えば周りが見える。
車いすの人を前にして「走るの気持ちいいですよ」と言うことは善か悪か。
『悪と受け止める人もいるかもしれない』と思った時点で、それは壁になる。
向こう見ずの無鉄砲の無神経で「好きなこと言えばいいんだ!」と出来るのは、若さだ。
そのステージで勝負し続けるのは、あまり得策ではない。
■持久力って必要ですよ。
例えば、反社会的なテーマを扱えば、過激だから瞬発力にしやすい。
賛否両論。けんけんがくがく。怒鳴ったり泣いたりわめいたり。
でも、持久力があれば、同じテーマを扱っても、フォローが出来る。
フォローができれば、傷つける人は少なくて済む。
んで、持久力があれば、フォローだけじゃなくて、より面白い方向にコントロールすることも出来る。
マイナスを減らすのではなく、プラスに転じること。
これは持久力がないと出来ない芸だ。
■言いたいこと。
どっちも大事。
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