アキバ署

アキバ署! 01 (アフタヌーンKC)

全3巻。
タイトルからして、当時、話題になったんだろうなあ、とは予測がつくものの。
ちょうど、この時期、ゲームにも漫画にも飽きはじめてた頃だったのでチェックしてなかった。

さて、内容ですが。
あらすじは、法律の抜け穴をスルスル抜けてくインターネットの悪意に対して、天才女ハッカーとたたき上げの男警官がコンビ組んでどうにかしようって内容。

もうこの時点で鬱エンド決定。
だって警察って、事件が起きないと動けないですから、基本的に動いた時点で負けが確定してんですよね。
爽快な勝利とは程遠い組織なわけです。

同じ警察モノでも、地雷震は主人公が「それでも犯人ぶん殴る」っていう一種の狂気に染まってたので、独特の退廃的な魅力があったんだけども。
『アキバ署』っていう明るいタイトルと主人公の乙女チックさが、痛々しいぐらいのギャップになってます。

いわば「海賊王にオレはなる！」って宣言した途端に銃で撃たれて重傷になってる、みたいな。
現実はそんなに甘くないよね、と。

ただ、ネットをネタにした作品としては一番、ネットの悪い面を表現できてんじゃないかな？　と思います。
こういうの見ると「未成年者にゃ、過ぎたおもちゃだよなあ」という気もします。

んで、漫画として、ですが。
自分が見た感じなので、あまりアテにならないかもしれませんが。

作者がキャラクターに愛情をもってない気がします。
いや、もってるかもしんないですけど、自分が考える愛情とはちょっと違う感じ。
なんていうか、知性が見えないんですよね。

その証拠に、3巻のあとがきで主人公の女性について「誰にもやらん」的な事が書いてあるんですけど、本編では普通に知り合ったばかりの男とくっつきかけてますし。
それも朝チュンですよ。
朝帰りして、男物のＴシャツを着て、ちょっと嬉しそう、ってイヤイヤ。

せめて、相手の男がラスボスとかライバルみたいな重要な役どころなら、将来くっつくのか、それとも愛し合いながらも戦うのか、ってな展開が期待できますけどね。
一話こっきりの使い捨て男だもの。
これじゃ、主人公が騙されてホイホイついてってヤラれたマヌケ女にしか見えません。

あと、掲示板が炎上して、自宅の家まで撮影されて写真アップされてるのに、ノコノコ帰って風呂入ってたり。
イヤイヤ。

もうちょっと理由とか根拠とか作戦とかとか。
ヒロインの知性を見せてほしかったなー、と思う。

あと、ファイル共有でひどい目にあった脇役の女子高生も、もうちょっとどうにか解決してほしかった。
一度は「こんな問題起きてます」「魔法使って解決しました」とオチつけたのに。
その後「やっぱり解決してなかったので我慢してください」じゃ、話としてちょっとなー。
蒸し返す意味あったのかな、って思う。

実際、読み終わって2、3日経った今でも、もやもやしてるし。
現実にも起こりうるっていうか、おそらく起こってるであろう問題をテーマにしてるんだから、その辺は慎重に扱ってほしかったかな、と思う。

全体的にエンターテイメントとして見ると悪い点ばかりが目立ちます。
でも、ネットの怖さっていう点では、分かりやすい漫画だと思う。