見知らぬ白髪のオッサンが。
職場のトイレで鼻をかんだあとで、鏡を見ると、見知らぬ白髪のオッサンが立っていた。
疲れた顔に、白髪混じりの茶髪。若ぶっててみっともない。
それが自分であると気づいたのは、5秒ぐらい見つめたあとだった。
昔は「若白髪って苦労人なんだって」などとフォローされたものだけれど、30も超えた今となっては「若」ではない。
帰りにヘアカラーの色戻しを買って帰った。
白髪染めを買わないのは、せめてもの抵抗だ。
みっともなかろうがなんだろうが、もうちょっと若ぶってていたいんだよ。
■辞任したと聞いた。
彼はいったい、何をする為に大臣になったんだ。
■というか、
こういう決断だけは早いないつもながら。
■最近、朝の通勤電車空いてなくね?
気のせいかな。
結構時間ぎりぎりに行っても車両の隅っこをキープできる。
おかげで楽に本が読めるが、他の人はどこにいったのだろう。
サマータイムというやつか。
やれやれ、ご苦労なこった。
あと、そのおかげ、というわけではないんだろうけど、
たまに乗り合わせるキレイなお姉さんをじっくり見られて眼福である。
市ヶ谷で降りて仕事に行くみたいだから、市ヶ谷さんと名付けた。
昔風に言えば「市ヶ谷の君」だ。
でも、あんまり気にし過ぎると気持ち悪がられて乗る車両を変えられるかもしれないので、こっそり見るだけにしておく。
両の手に指輪をつけていないのだけは確認した。
こんなとこばかり目ざとくなっていく。
オッサンですから!