知人とのLINEで「このシーンの」と説明したくて、電子書籍の1巻を購入してちょっと読み返したら改めて面白かったのでまた全巻そろえてしまった。
(紙の本もいれると、たぶん3回目の買い直し)
時代背景としては平成3年(1991)から5年頃(1993)のお話で、ほぼリアルタイムの連載。作中でも登場人物は3歳増えてる。
主人公は25歳の零細企業勤めのサラリーマンで広い部屋に憧れて2Kに引っ越したものの、ビルの不法建築のおかげで会社の引っ越し先が急遽、主人公宅になってしまう、という所から物語が始まる。
バブル崩壊直前から直後を描いていて、主人公達は経済の変化に振り回されてるんだけど、この『社会経済の変化』は作中ではほとんど描かれてなくて、ずっと主人公達の主観で「会社に仕事がない」や「バイト探したけど見つからない」みたいな視点で描かれていて、作者のすごさに今更ながら驚いた。
一コマ「バブルがはじけました」と入れるだけで社会変化の説明は完了するし、簡単なんだけど、主人公達がそれを意識してたか、っていうと、してなさそう。
(ヒロインはまだしも、主人公は経済に関心がない)
主人公達がしてないことは描かない、というのを徹底していて面白いと思った。
しかし、いずみちゃん(昭和50年生まれ)も今じゃ45歳か、、、時子さんは50歳超え、多分、孫がいるだろうな。
■鬼滅の刃
取引先で「映画見ましたよ」って話したら、その場にいたほぼ全員から「コミックス全部読んでる」と返されて、人気っぷりに驚いた。
鬼を倒す話なんだけど、鬼を倒すと、その鬼の走馬灯として「鬼になる前の人だった頃」の話が語られる。これがまあ、実に辛気くさい話で誰一人として「鬼になるぜ、イエーイ!」みたいな人がいない。
『人並み以上に酷い目にあったり、酷い環境で生きてきて鬼になりました。でも鬼になった後、他人を傷つけたよね、それは許されないよね』という話が多い。
そんな鬼達を、主人公は「消滅することで罰は受けたんだから」と許す。これが主人公の特異性で、憧れポイントだと思う。
ただ、この心境は人間離れしすぎてるので、中和剤として、悲鳴を上げる金髪と、話を聞かないイノシシがいる。イノシシの「あいつは死んでいいと思う」は自分としては名言。
好きな鬼のエピソードは「醜い兄と、美しい妹」のやつ。
■花だより
今、映画上映中のやつの小説版原作のほう。
電子書籍版を待ってたんだけど、全然でる気配がないので、文庫本で買った。
料理をテーマとした江戸時代小説で、武家と庶民や、大阪と江戸などの違いまでが、話に盛り込まれていて、読むのにグーグル検索が必須になるタイプの面白さ。
個人的には幻の「日坂名物わらび餅」の話が好きです。
日坂では安価な葛で作ったそれを『わらび餅』と称していた、っていう。
江戸当時の旅行記などでも「ただの葛餅ですから、だまされないように」的な文献が残ってたりします。
小説とはちょっとズレますけど、本わらびって、練ると黒っぽい色になるんですよね。だとしたら、白っぽいわらび餅って、何が混ざってんだろか、と疑問に思ったりします。原料表記みた感じだとデンプンっぽいんですけども。