そらを自由に飛びたいな

おっさんのぼやきです。

双亡亭壊すべしを読み終えた。

完結した。

 

安心と信頼の藤田和日郎作品。

新しい試みもあったりして、面白かった。

 

ネタバレありで感想を書く。

 

■ 新しい試みって?

 

主人公に身を守る武器がない。

うしおととらだと獣の槍、からくりサーカスは拳法と人形、月光条例は頑丈な肉体だった。

 

双亡亭壊すべしは、主人公が売れない絵描きと普通の小学生だ。

これが新しいと思った。

 

本編ではずっと危ない場所をウロウロしているので、二人とも、ほぼ全話、誰かに守られている。

 

武力があれば守ることはできる。

でも、武力では今回の敵に勝てないのだ。双亡亭は武力では壊せない。

何度でも復活されてしまう。

(タネさえ分かってしまえば、圧倒的な火力でも壊せるだろうけど)

 

銃や刀、はたまた法術や式神が出てくるし、敵は復活怪人だしターミネーター2みたいなやつらだ。そんなのが山盛りてんこ盛り出てくる。

 

でも本当に怖いのはそんなので殺されることじゃなくて、もっと存在そのものを脅かされることで。

本当に怖くて怖くて枕を抱えて泣いてしまいたくなるような怖いものは「将来への不安」なのだと思う。つまり、自分自身の想像力だ。

自分自身を信じられなくなること。

それが双亡亭が描く恐ろしさだと思う。

 

■それはそうとして。

残花、めちゃくちゃカッコいいな。

あと、宿木さんの二の腕が筋肉質なのもカッコよかった。

 

そういや、藤田和日郎作品で、軍人さんがビジュアル的にカッコいいのは珍しいかもしれない。

(だいたいゴリラ体型だものな)